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ストラテジック・ガイドポスト

Strategic Guideposts

 

 

前回、ガイドポストのコンセプトを紹介した(こちら)。下記に、ストラテジック(戦略的な)ガイドポストの例を示す。会社でガイドポストを使って、毎日の決定や社員の振る舞いをガイドする事が可能だ。従って、アイデンティティを明らかにし、強化する事も出来る。

 

 

ストラテジックガイドポスト例1:IBM

 

 

IBMを見れば、

IBM =「Reliability (信頼性) + Robustness (強壮性)」

のようなアイデンティティが見える。

 

サービスやメインフレームからチップまで、IBMはこのイメージがある。

 

このアイデンティティはIBMのDNAのようなものである。ReliabilityとRobustnessはガイドポストのような役割として使える。結局、ReliabilityとRobustnessはstrategyや決定をガイドする事が出来る。

 

IBMがドーナツ市場に参入したければ、どうであろうか?

「Reliable & Robust Donuts」ではどうか?

(雪印より、安全かもしれないが)ドーナツ市場でReliabilityとRobustnessはあまり付加価値にならない。

 

PCビジネスは?

現在、PC(OS以外)のReliabilityとRobustnessではあまり付加価値にならない。

OSに挑戦しないならば、IBMはPCにあまり付加価値を付けていないので、やめたほうがいい(実際、IBMはほとんどやめた)。

 

IBMはこのガイドポストを使って、ReliabilityとRobustnessが付加価値になる市場に集中する。

ハードディスクよりむしろ、ハードディスクコンポーネント。

インタネット・サービス・プロバイダー(ISP)よりむしろ、データ・センタ/mission criticalサービス。

コモディティチップよりむしろ、複雑デザイン、複雑なプロセスを持つチップ。

(注意:IBMの付加価値は「複雑な事」よりむしろ、「Reliability + Robustness」の事である。つまり、「複雑な事」の上では、「Reliability + Robustness」が高い付加価値になる。)

 

 

日本のメーカーはいつも自社をIBMと比較する。

これは、必ずしも正しいことではない。

例えば、日本のメーカーの誤解の1つとしては、IBMのキーがサービスと思っていることだ。しかし、IBMのキーはサービスではない。IBMのキーは「Reliability + Robustness」である。

 

30年前、IBM の「提供物」は実際は「Reliability + Robustness」だった。

30年先も、IBM の「提供物」は多分「Reliability + Robustness」だろう。

 

あなたの会社のアイデンティティ(DNA)やガイドポストが「Reliability + Robustness」でなければ、IBMとの直接比較をやめてください。

 

あなたの会社のアイデンティティ(DNA)やガイドポストが「Reliability + Robustness」でなければ、IBMを直接コピーするの事をやめてください。

“Every computer company has now decided to be more IBM-like.

It’s interesting that the (service) strategy everyone is copying came from an

industry outsider (IBM CEO, Lou Gerstner).”

                                  - Andy Grove, Intel

 

ストラテジクガイドポスト例2:Southwest航空

 

 

ここ25年、ある航空会社は赤字を出していない。それは(米)Southwest航空である。Southwest航空はレイオフもしない。

最近、Southwest航空の株の時価総額が他の米国の航空会社全てを合計した株の時価総額より高くなった。

 

このことがSouthwest航空のガイドポストと関係があるのかどうか、見てみよう。

 

 

Southwest航空 =「Fun(楽しみ)

+ Fast(速い) / on-time(時間の正確さ)

+ Value(安い)」

 

 

これらのガイドポストはSouthwest航空の戦略や全ての決定をガイドする。

 

例えば、

-人事採用(「fun」のため、冗談が言える人を採用する。レイオフをすれば、社員から「fun」が出ない)。

- どの航空機(短いturn-around時間及びメンテナンスコストを削減するため、全てBoeing 737を使用)。

- 行き先の空港。

- ルート。

- 飛行機のキャビンデザイン。

- 値段。

- 切符システム。

等について、ガイドポストがガイドを行う。

 

例えば、1983年、Southwest航空は(米)デンバー空港へのサービスを導入した。

しかし、デンバー空港の悪天候やターミナルの混雑がSouthwest航空の短いturn-around/on-time出発のガイドポストに合わない。そのため、3年後、Southwest航空はデンバー空港への発着サービスをやめた(売上/利益よりも、ガイドポストが決定をガイドする)。

 

 

ガイドポストは全社員の決定や振る舞いをガイドする。

ある状況に対し「どうすればいいか」の質問が出てくると、社員は「Fun + Fast + Value」のガイドポストに従う。

 

"Unless the distant goals of meaning, greatness, and destiny are addressed,

we can't make an intelligent decision about what to do

tomorrow morning -- much less set strategy for a company.”

- Peter Koestenbaum

 

現代、トップダウンの決定が遅すぎるし、現場から遠すぎる。

ガイドポストの使用によって、分権化した(decentralization)会社にも一貫性を持つストラテジーが可能である。

複雑な世界では全てコントロール出来ないが、人間のDNAのようにガイドポストからアイデンティティがある複雑なものが発生する。

 

あるガイドポストはstrategyというものかもしれない、valuesというものかもしれない、missionとうもかもしれない、core competenceというものかもしれない。。。。。。。結局、多分何でもいい。

 

ガイドポストにより、すべてが方向付けられ、何処でも皆がすぐ決定し、すぐに行動することができる。

ガイドポストは会社のリソース・アロケーションもガイドする。

やる事とやらない事をガイドする。

焦点を当てるべき事と捨てるべき事をガイドする。

ガイドポストは付加価値をはっきりにして、ますます付加価値を強化する。

従って、アイデンティティも強くなる。

 

結局、強いガイドポストは利益性に繋いでいる。

 

 

幾つかの日本メーカー(日立、NEC等)のDNAはあまりはっきりはしていないが、たしかに、存在している。そのDNAから良いガイドポストを抜き書きする事ができると思う。 

 

 

あなたの会社  = 。。。。。。。。。。。。。。

 

 

 

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