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ホワイトカラー生産性

 

 

最近、日本でホワイトカラー生産性の話しがたまに出る。

 

私は日本の大企業を見ると、60年代のオーストラリアのイメージが頭に思い浮かぶ。

 

私は「日本の企業に入ると、頭が豆腐になる」とよく言っている。

しかし、60年代、オーストラリアや、米国等の大企業(Xerox、ITT、GM等)について同じことが言われた。

特に、60年代、ホワイトカラーの生産性に課題が生じた。

 

それは大企業病のことだけではなく、企業とマネージメントの成熟度の関係することもあった。50年代、60年代、ホワイトカラーの社員がかなり増えた(計画、マーケティング等の部署で)。

しかし、その時まで誰もホワイトカラーの対応をちゃんと考えようとはせず、理解もしなかった。

つまり、人間のパフォーマンスや生産性の要因をちゃんと理解していなかった。

 

オーストラリアや、米国等の企業が課題意識を持ち、また、組織心理学や、個人の心理学等が進化したため、要因の理解の成熟度が上がった。ホワイトカラー/knowledge workerというものを理解して、彼らはそういうものに段段対応できることになった。

同時に、苦しい70年代を通じて、構造変更も行った。(日本・アジアとの競争で)多くの企業が潰れ、残っている企業がフラット組織となり、終身雇用が減り、ホワイトカラーがプロフェッショナルへの道に入った。

 

その経験から、ホワイトカラー生産性について、2つ点が出てきた:

1)社員の脳の構造を理解し、内部のシードを育成する。

2)プロフェッショナルへ。

 

 

以前、社員の理解の面を示した(例えば、こちら)。

添付資料にも簡単な図が入っている(こちら)。

 

今回は、プロフェッショナルな面とknowledge workerというものを見る。

 

ホワイトカラー生産性のプロフェッショナルな面の簡単な課題の例を見てみよう。

 

例えば、大手企業の社員がCRM(customer relationship management)の検討担当になったとしよう。

その人はCRMをあまり知らないので、ゼロから勉強する。

ある意味でアマチュア(知識、経験、業界ネットワーク、スキルが低い)。

 

一方、他社では、もう少しプロフェッショナルに近い社員を担当させるかもしれない。そうしたならば、多分、すぐ、今日か明日に、その人は適切な対応の導入を始めるだろう。

 

プロは1日でアマチュアの6ヶ月間分の仕事が出来るかもしれない。

つまり、プロの生産性は、多分アマチュアの1000倍高い。

 

 

プロフェッショナルな面で生産性が高い人材を作るためには:

1)プロフェッショナルスキル・知識:学位という意味よりも、連続的な勉強、経験。

 

2)適切な人を選ぶ:適切なマインドを持っている人を選べば、生産性がかなり高くなる。

例えば、管理的なマインドを持っている人はマーケティングマインドに合わない。

マーケティングでマーケティングマインドを持っている人を選ぶのほうがいい。

 

3)幅広い経験:

例えば、あるマーケティングの社員は経験・スキル・知識を深くするため、(ベストプラクティスを吸収しながら)色々なところに転職するかもしれない。

 

4)コミューニティ:自分の業界のコミューニティに積極的な参加するということ。例えば、マーケティング業界、リスク・マネージメント業界、リーダーシップ開発業界、ロジスティックス業界等)。

日本にはコミューニティがまだ足りないが、若い日本人がどんどん参加している。

 

 

ホワイトカラー(knowledge worker)生産性の話しの中、特に注意すべき点がある。

 

それは、人材の生産性の場合、「効率性」(efficiency)よりも、effectiveness(効果的・実効性)に注目しなければならないということ。

ホワイトカラー生産性に関して、「効率性」(efficiency)は危ない言葉だ。

 

 

人間や組織はロボットや工場ではないので、方法の効率性よりも、重要なのは作った価値の高さである(かなり低い効率性の方法から、かなり高い価値が発生するかもしれないので)。

 

その意味でToyota方式も少し危ない。

人材や組織の場合、ムダが大切な必要なものだ。

 

実際、会社の提供価値が人材対応に反映する。

 

例えば、Dellの場合、ホワイトカラーの効率性を見ているかもしれない。

一方、IBMの提供価値は「複雑な課題を解決すること」なので、その価値は組織的なムダ(緩み・余裕(slack))から発生する。

実際に「効率性」が悪い影響を及ぼすかもしれない。

IBMの価値はムダから発生する。

 

3Mも同じ、新しい価値はムダから発生する。

 

創造力もムダから発生する。

 

人材の場合、あるブレイクスルーアイデアが午前3時の就寝中や、散歩しながら、発生するかもしれない(knowledge workerの場合、反省(reflection)時間が大切)。

「効率性」というものにならない。

(実際、knowledge workerの観点から見れば、出勤カード(タイムカード)が失礼なことであろう。

午前3時に出て来るアイデアや、課題解決が誰のものでしょうか)。

 

 

ホワイトカラー生産性にとって、「明確化」も大切な言葉だ。

ホワイトカラーのeffectiveness(効果的・実効性)を高めるため、

方針、役割、理由、意義・・・等の明確化が必要である。

 

 

結局、先ず、人間というものを理解しなければ、

目の前の人の脳を理解しなければ、

人材の生産性の話しはあまり意味がない。

 

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