構造的なシフト :オージー経験
Structural Shifts: Aussie Style
もの作りからリレーションシップへ
「ものを作らないと、将来がない」というようなスローガンをよく聞く。これは日本のスローガンではない。これはすべて先進国が使った言葉である。例えば、30-40年前にオーストラリアに(米国、英国も同様)アジアから厳しい製造競争が入ってきた。その時期、デフレの「犯人」は中国ではなく、日本だった。当時、簡単にコストの安い日本に工場を移すことが出来なかったので、オーストラリアではたくさんの製造業がなくなった。ものを作らないとBanana Republicになるという心配があったが、結局、厳しい競争があるもの作りがなくなったことは逆に、災い転じて福となすとなった。本当に嬉しいことである。つまり、そのおかげで、オーストラリアは環境と経済のパラダイスとなったのだ。
生活やビジネスのためのものは、ほとんど輸入して、付加価値は別の源泉から。例えば、オーストラリアにいる私の家族の場合、コンサルティングエンジニアとして、父は知識を提供している。彼のビジネスはローカルなので、厳しいグローバル競争がなく、儲かっている。
スカッシュのコーチとして、母は人間の潜在力を解放すことを提供している。彼女のビジネスはローカルなので、厳しいグローバル競争がなく、儲かっている。
フィナンシャル・プランナーとして、弟は心の平静を提供している。彼のビジネスはローカルなので、厳しいグローバル競争がなく、儲かっている。
一般的に、モジュール化できることやはっきりしたインターフェイスがあることには危険性がある。競争相手が簡単に入れるからだ。しかし、人間をモジュール化することできないし、はっきりしたインターフェイスもない。そのため、人間的なリレーションシップビジネスでは比較することが難しく、リレーションシップからの変更も簡単にはできない。
オーストラリアではもの作りからリレーションシップビジネスへのシフトが行われた。
日本はまだまだ「もののデザイン」や「もの作り」のコンピテンスがある。しかし、ほとんどのもの作りがなくなっても、そんなに心配しないで下さい。苦しいもの作りを放棄することは実際、解放的なことである。
ヒエラルキーからフラットへ:
上記のように、アジアからの激しい競争によって、多くの人が仕事を失った。
そして、1980年代、オーストラリアの企業の組織変更も行われた。
企業は階層組織(ヒエラルキー)からよりフラットな組織に変更した。
特に、中間マネジャー層(middle managers)の必要性がなくなって、たくさんの40-50代の社員が仕事を失った。
この年齢の会社員は将来にかなり不安だった。
何十年、同じ会社に勤めて、
「この年齢でどうするの?!」のような気持ちを彼らの多くが持った。
勿論、最初に大変なショックになったが、
結局的には、7割の人が以前より良い状況になったと判断した。
そのような人たちはまずい階層制度がある大企業から離れて、フリーダムのような気持ちを感じた。
会社の奴隷ではない、自分の価値とパッションを再発見したのだ。
彼らは自分のパッションを持って、新しい人生を始めた。
そのパッションと解放された知恵とによって、オーストラリアのビジネス環境も良くなった。
結局、肯定的な(positive)態度を持って臨めば、多くの場合、変更やシフトはliberating(解放的)なこととなるのである。