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競争力の変遷

Competitive Dynamics

 

「どうして、90年代にアメリカの競争力が改善されたのか」というような質問が時々耳にする。

このようなことを理解するため、最近50年のマネージメントや組織の変更による競争力の変遷を見てみよう。

下記は主にアメリカ、オーストラリア、英国等の企業の変遷です(ヨーロッパや日本は90年代からそのような動きに巻き込まれ始めた)。

 

添付資料(こちら)のマネージメント年代記を見れば、マネージメントや組織に対して、いくつかの変更が行われたことがわかる。それらの競争力へのインパクトを見てみよう。

 

 

1) ストラテジックな面:

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1950年代から1970年代にかけては、豊富な消費社会により、いくつかの企業が幅広い分野に手を広げた。この時代、水平のコングロマリット(巨大複合企業)が繁茂した(ITT等)。

同じ時期、市場の成長と一緒にいくつかの企業が単なる大きくなった。

しかし、70年代に入ると、企業が巨体すぎて、方針が曖昧となり、ビッグカンパニー病(Xerox, IBM等)も増えた。アジアの地域との製造競争も生じた。

 

多くの場合、コングロマリットや大企業のビジネスポートフォリオはストラテジック・ガイドポストや一貫性がなかったので、ポートフォリオ経営が死んだ。

 

(実際、70年代後半、ボストンコンサルティングの成長―シェアーマトリクス(金の成る木等)といったポートフォリオ経営の最後のピークが、結局、ストラテジーの更生(strategy rebirth)の最初の一歩になった)。

 

同時に、70年代後半から、企業からストラテジックな質問がどんどん出てきた。

例えば:

「我々の存在意義は?」

「我々の本当の付加価値は?」

「我々は何処へ向かっている?」

「我々の真の競争力の源泉は何?」

 

 

このような質問や厳しい競争環境によって、市場での競争力のバランスが変わった。

いくつか大企業が倒産した。ごく少数の大企業が変革を行った(GE等)。

その他多くの大企業はずっと昏睡状態に入っている(Xerox、GM等)。

 

1980年代に入ると、明確なストラテジ-、付加価値、方針がなければ、益々生き残ることができない状況になった。

 

 

2) すげぇ!・カスタマー・サービス(Outrageous Customer Service)

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1980年代、すごいカスタマー・サービスのムーブメントが出てきた。

つまり、カスタマーの要求に沿って、とても満足させるサービスを提供することではなく、

カスタマーが思いもつかない、予期せぬサービスを提供することである。

 

例:あるカスタマーは犬を連れて、Southwest航空の搭乗の列に並んだ。乗務員は犬を連れて飛行機に搭乗するのは禁止されていることをカスタマーに説明した。さて、どうしたかというと、カスタマーの2週間の旅行中、Southwest航空の社員が自分の家で犬を面倒みたのだ。

 

20年前、このような例がカスタマー・サービスの新しい標準になった。

しかし、「すげぇ!・カスタマー・サービス」を提供するためには、社員のイニシアチブやモチベーションが非常に重要となる。

 

 

3) 社員重視ムーブメント

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1980年代に入ると、厳しい競争、ライバル企業間の製造、技術、販売チャンネル等の模倣や、入手がただちに行われるようになった。

結局、模倣できないものは人材と組織のカルチャーである。

 

人材と組織のカルチャーは競争力のドライバーになった。

 

60年前、ドラッカー氏はknowledge worker(知識労働者)のことを述べたが、

80年代に入って、やっとその「社員は第一のアセット」という認識が生まれた。

工場の人を含めて、企業の全社員がknowledge workerになった(つまり、人間の頭を使わない場合は、ロボットを使う)。

 

設備やシステムからパフォーマンスを引き出す方法、と人間からパフォーマンスを出す方法は180°違うである。

人間は管理できないものであり、マネージできないものである。

人間は自分をマネージするものであり、モチベーションを与えられるものである。

そのため、マネージャーの仕事やマネージメントのアプローチが再定義された。

 

 

そして、80年代末から全社員にマネージメントやリーダーシップ等のトレーニングが普及した。

「xx社リーダーシップユニバーシティー」等のようなものも出てきた。

リーダーシップは人間の一面だけであるが、心理学の影響で、その以外に色々人間的な面の開発が行われるようになった。

少しずつ、社員のパッションや潜在力を解放することがビジネスプライオリティーとなった。

 

 

4) 構造的な面:

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シリコン・バリーのようなところの競争力に大きな影響を与えているのは構造的な面である。

つまり、柔軟なシステムの上で、人材市場があり、キャピタル市場があり、アイデア市場がある。

そのようなシステムからSun、Microsoft、Ciscoのような会社が出てくる。

 

 

(1980年代にクオリティ・ムーブメントがあったが、クオリティは当然必要なものとなったので、クオリティは差別化にはならない。差別化はストラテジー、組織、人材等から生じる。)

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上記のような動きに対して、多くの日本企業は20年遅れている。

キャッチアップするため、経営革新プログラムのような活動が必要である。

 

実際、標準が存在しないので、「キャッチアップ」という言葉よりも、あなた達は自分のDNA、パス、競争力の源泉、提供価値を定義しなければならない。

 

そして、あなた達の標準を世界に誇示しなければならない。

 

 

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