選択と集中: ポートフォリオの一貫性
70年代、海外で一貫性がない(製品、事業の)ポートフォリオビジネスが死んちゃった。
大企業の太り過ぎと同時にストラテジー時代が始まった。戦略的な選択と集中が徐々に行われた。
90年代に入り、日本でもポートフォリオビジネスが崩れていった。
ポートフォリオビジネスは滅んでしまったかもしれないが、
ポートフォリオビジネスをやりたければ、ポートフォリオの一貫性(alignment, consistency)が必要である(つまり、ストラテジック・ガイドポスト)。
同様に、ボトムアップ経営も悪くない。しかし、ボトムアップをしたいと、明確なトップレベルのガイドが必要である。例えば、価値観、カルチャー、深いミッション等の一貫性である。
例えば、
Sonyはカルチャー系の一貫性がある。
Canonはコア・コンピテンス系の一貫性がある。
業界の成熟度によっても、
半導体業界において、20-30年前なら、ある一貫性は「半導体」であったかもしれないが、現代、それでは足りない。
「半導体ポートフォリオ」では足りない。ポートフォリオはストラテジーではない。
トップレベルのガイドの上に
一般的に、それぞれの戦略的な選択と集中が必要:
バリュー・チェーンの範囲の選択と集中(設計か、ファウンドリか)。
アプリケーションの選択と集中(無線か、車載か)。
製品・サービスの選択と集中(ベースバンドか、RFか)。
カスタマーの選択と集中。
(「選択と集中」は特に絞ることではない。広げることかもしれない。少なくとも、ある一貫性が必要)
世界中の半導体ベンダーはそれほど戦略的ではないが、業界の成熟度に従い、
戦略的な選択と集中を行った。
IBMの一貫性 = 「Reliability + Robustnes」。
STMicroelectronicsの一貫性=「Analog + Mixed Signal」。
Broadcomの一貫性 = 「Broadband + 超インテグレーション」。
TIの一貫性 =「信号処理」。
Intelの一貫性 =「Stand alone MPU」。
SOC時代に入っても、
日本の大手半導体ベンダーは製造やコモディティー歴史によって(及びビッグカンパニー病による管理的なカルチャー)、キャパシティー、製造の考え方が残っていった。リソースや経営幹部の時間もその中心として残った。
一方、90年代後半、いくつかの競合他社はバリュー・チェーンの選択と集中を行い、アプリケーションソリューションの中心となった。
彼らのリソースや経営幹部の時間はアプリケーションソリューションが中心となった。
製造やコモディティーの考え方では計画、数字、キャパシティーの中心となる。
アプリケーションソリューションの考え方では、実現したいアプリケーションビジョン及び深い市場理解から始まる。そのような企業はファブのROI(投資回収率)からLSI設計エンジニアのROIへ中心した。
考え方が全然違う。
例えば、以前の大手半導体(IDM)はfab fillerとして、バースプロダクツを作っているかもしれない。
しかし、バリュー・チェーンの選択と集中やアプリケーションの選択と集中によって、
fab fillerではなく、すべて製品はリーディングNo.1製品の中心となった。
半導体業界の成熟度と共に、「世界ベスト」のことに選択と集中を行った。
選択と集中例1:
例えば、「Mixed signalのコンピテンスを使って、セミ・カスタムLSIソリューションを提供する」という方針とストラテジックなガイドの場合。
(「Mixed signal」と「セミ・カスタム」は企業のDNAからの競争力と差別化であることが前提の場合)
その場合、「Mixed signalのコンピテンスを使って、セミ・カスタムLSIソリューションを提供する」
は各事業部のストラテジーのドライバーとなる。
そして、段々5-10年かけて、その方針に向けって、毎日、毎日の小さな決定により、少しずつ組織をその方針に合わせていく。
例2:
Mixed signalは企業のコンピテンス、差別化、付加価値の場合:
リソース――>「Mixed signal」へ。
経営幹部の時間――>「Mixed signal」へ。
マーケティングメッセージ――>「Mixed signal」へ。
報酬――>「Mixed signal」へ。
皆は毎日24時間「Mixed signal」を考えている。
「Mixed signal」のNo.1になるだろう。
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上記は1996-97年の話しである。
6年が経ち、何か進んだだろうか?
(ギブアップ決定ではなく)戦略的な選択と集中を行ったか?
設計、製造、
デジタルAV、無線コミュニケーション、車載、ネットワーク等、
プロセッサー、マイコン、ASIC、メモリー、アナログ等。
ポートフォリオの一貫性は?
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「もし一定した存在意義がなければ、長期的に勝つことは本当に難しいです」
- Jerald Fishman, President and CEO, Analog Devices Inc
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