ストラテジーの変遷

Strategy Dynamics

 

30年前、「我々は半導体会社です」という文言を言えた。

今、「我々は半導体会社です」はストラテジックな意味がない。  

いまだこの文言を使っているのは、時代遅れである。

 

先ず、業界の成熟度によって、半導体のバリュー・チェーンの分割が行われた。

 

垂直的な選択と集中:

例えば、「我々はファウンドリ会社です」。

 

水平的な選択と集中:

例えば、「我々はDSP会社です」。

「我々は携帯電話LSI会社です」。

 

 

バリュー・チェーンの選択と集中の前に、より深いストラテジック・ガイドポストやストラテジックな一貫性(alignment/consistency)を確認しなければならない。

 

企業のストラテジックな一貫性の例として、西洋の最後の複合企業と言われているGE社を見てみよう。

 

GEには幅広いの製品/サービスがある(タービン、医療機器、金融サービス等)が、

実際にGEはゼネラル・マネジャーを作る会社である。

 

ゼネラル・マネジャーは何をやるか。

ゼネラル・マネジャーは経営を行いますね。

GE(特にGE Capital)は経営が弱い業界に入って、経営で競争する。

(しかし、専門業者が経営を改善すると、GEは競争に勝てなくなるかもしれない)。

 

GEの考え方、人材、リソース等はマネジャーを作ることにフォーカスしている。

それはGEの組織の一貫性である。

 

例えば、GEの低マージンの電気アプライアンス部門の役割は厳しい環境におけるマネジャートレーニングである。

 

結論としては、複合企業もストラテジックな一貫性があれば、存在価値がある。

結局、バリュー・チェーンの選択と集中を行う前に、ストラテジック・ガイドポストやストラテジックな一貫性をしっかりさせなければならない。

添付図をご覧下さい。こちら

 

 

半導体の例では

IBMのキーとは

IBM  =  IDM (Integrated Device Manufacturer)

ではない。

 

キーとはストラテジックな一貫性:

IBM DNA =「Reliability(信頼性) + Robustness(強壮性)」。

 

そして、それはIBMのバリュー・チェーンの選択と集中をドライブ(推進)する。

例えば、「Reliability + Robustness」はハイエンド、複雑、特化したLSIでは付加価値となる。

 

 

半導体業界に比べ、自動車業界はほとんど進んでいない。

80年前は「我々は自動車会社です」と言えた。

現在、多くの自動車メーカーがまだ自分達を「自動車会社」だと思っている。

 

日産やマツダには「ファミリー・カー」があり、「スポーツ・カー」もある。

イメージが雑ざっていて、ストラテジックな一貫性がない。

よって、提供価値が下がってくる。

 

最悪なのはGeneral Motors(GM)。

GM・・・何それ?

80年前からあまり変わっていない。

 

一方、BMW=「The Ultimate Driving Experience」カンパニー。「自動車会社」ではない。

ストラテジックな一貫性がある。ある程度まで、バリュー・チェーンの選択と集中を行った。

 

 

日本大手半導体会社を見てみよ。

 

日本大手半導体会社はストラテジックな一貫性があるか。

 

ビジネスモデル:IDM (Integrated Device Manufacturer)。

 

製品のラインアップ:マイコン、メモリー、ASIC、アナログ等。

 

アプリケーション中心:デジタルAV、無線コミュニケーション、automotive、ネットワーク等。

 

 

1つすぐ出てくるずれはメモリーである。

メモリーはコモディティーなので、低コスト、大量生産キャパシティーがキーである。

つまり、キャパシティーに十分に投資しないと、だめ。

その上、ASICビジネス等との一貫性がないそう。

 

 

日本大手半導体会社のデフォルトIDMビジネスモデルとなって、しかし、バリュー・チェーンの選択と集中を行ったか。一貫性がはっきりしているか。

 

幅広いの製品ラインアップがあって、しかし、製品の選択と集中を行っているか。一貫性がはっきりしているか。

 

日本半導体会社の代表的なアプリケーションの中心となって、しかし、アプリケーションの選択と集中を行ったか。一貫性がはっきりしているか。

 

日本半導体会社の組織の全体的のストラテジックな一貫性がはっきりしているか

 

日本半導体会社の組織、スキル、経営幹部の時間、リソースはかなりまばらに散らばっているように見える。

 

 

一番簡単なストラテジーレベルで、組織はトッププライオリティを、差別化、低コスト/効率性、顧客緊密、の中から選ばなければならない。

 

いくつかの発表を聞くと、日本半導体会社はすべてを提供したいようだ。

「顧客緊密で差別化がある製品を低コストで提供したい・・・」

これはストラテジーの原則を破っているのである。

 

すべて出来ない。

トッププライオリティ(例えば、差別化か、低コストか、顧客緊密か)によって、必要な組織、考え方、やり方、経営幹部のフォーカス、リソース等が違う。

 

 

バリュー・チェーンのそれぞれの部分をやっている。

それぞれの製品をやっている。

それぞれのアプリケーションをやっている。

 

全体の一貫性(alignment)があれば、大丈夫であるが、

一貫性がなければ、うまくいかない。

 

20−30年前、ある一貫性は「半導体」であったかもしれないが、業界の成熟度によって、現代、それでは足りない。

 

 

実際、経営品質向上プログラムの1つ役割は(不)一貫性/(不)整合性を取り出すことである。

 

ある面では日本の半導体ベンダーはあまりバリュー・チェーンの選択と集中を行っていないというのは当然なことである。

これは、先にストラテジック・ガイドポストやストラテジックな一貫性をあまりはっきりさせていなかったからだ。

(しかし、自動車業界とGMに比べれば、よりはっきりしている)。

 

結局、ストラテジック・ガイドポストの最初のステップは我々のDNA、我々のpassion、我々のやりたいことである。

 

 

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